食事の量が極端に少ない娘を持つ母親(50代)

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食事の量が極端に少ない娘を持つ母親(50代)

ご相談者の声

2019/01/30 食事の量が極端に少ない娘を持つ母親(50代)

症状:食事をほとんど食べない状態が続いている。
専業主婦(50歳代)のDさんは、短大生1年生の娘さんが食事をほとんど食べないことを心配してカウンセリングに来られました。
お話を聞いてみると、次のような事情でした。
娘さんは高校2年生の修学旅行後から食が細くなり、160㎝の身長ですが、
今では体重は41Kgになり、去年の夏より生理がありません。今年7月にあるカウンセラーに相談し、
娘さんも面接したのですが、娘さんは「過去のことを話して何になるの?」とその後のカウンセリングを拒否しました。

 

今年9月には総合病院の婦人科を受診し、精神科に回されましたが進展がないまま中断したとのことでした。
Dさんは「今まで会っていたカウンセラーは『娘さんが来談しなければ、どうしようもない』というので中断しましたが、やはり心配で知人に紹介されてここに来ました。
娘は授業に出席しアルバイトもして活動的ですが、あまり食事をしません。
娘は朝5時におきて兄弟と自分の弁当を作っていま す。量は少ないのですが、朝食と弁当は食べます。
しかし、夕食の量は極端に少ないのです。
『食べなさい』というと、娘は『うっとうしい』と反抗し、陰険な関係になっています」と話されました。
私は「心配でしょうが、最低限の食事はとれているようですから、危機的状況ではありません。
食事のことよりも、まず、母子関係の改善が大切です。
娘さんがお越しにならなくても、どうしていったらよいか、一緒に考えましょう」と提案し、
1~3週間ごとのカウンセリングをすることにしました。

 

 

◆2回目のカウンセリング

「昨夜、娘はバイトから8時ごろ帰ってきましたが、いやな顔を見せないで快く迎えることができました。
しかし、食事のときに『あなたはあまり食べないのだから、体力を使わないように早く帰って、早く寝なさい』とつい言ってしまいました。
すると、娘は『うっとうしい』と捨てぜりふを残して、自室に入ってしまいました」と話されました。
そこで、「あなたのお母さんも口うるさい人でしたか?」と尋ねると、「末っ子なのに、高校を卒業すると都会の看護学校に進学させてくれました。
あれこれ言わず、よく家から出してくれたものだと思います」という返事です。
そこで、「ご自分とお母さんとの関係がどうであったかを確認するため、
内観のテーマにそって自分の子ども時代から現在までの母親との関係を振り返って記録して見ませんか?」と提案し、記録内観の方法を教えました。

 

◆3回目のカウンセリング

母親に対する記録内観の結果を持って来て、「17歳のとき父が亡くなり、母はお茶とお花を教えて生計を立てました。
母はひな祭りなどの年中行事を大切にしていましが、私はここ数年おひな様を飾っていません。
母は私のすることには手を出さずに見守ってくれていたことが内観してわかりました」と報告してくださいました。
そして、「この子はあまり喋らない子で、下の子は良く喋りました。上の子はアトピーで手がかかりました。
それで、この子のことには手薄になったのです」と子育てを振り返られました。
そして、「今までは娘に対して指示や禁止の言葉が多かったことに気がつきました。
最近ではそれを言わないようにしていますが、のどまで出てきたのを抑えるのに苦しかった」と語られました。
そして、娘さんの変化として、「娘は最近『行ってきます!』といい声で出ていくようになりました。
夫が出張した1週間は『怖いから一緒に寝てあげよう』と寝てくれました。
また勉強道具を持ってきて、そばで勉強してくれました。
今までそのようなことはなかったのに」と報告してくださいました。
カウンセラーの助言と記録内観の結果、娘さんの行動に干渉しないでおこうと考えて実行していますが、まだ自分のものにならず苦しいようです。

 

◆4回目のカウンセリング

「内観して見てわかりましたが、私が30歳のころ母が入院しましたが、私は看護婦なのに看病にも帰りませんでした。
母は布団も手作りしてくれましたが、私は子どもたちにしてやっていません」と反省なさっていました。
そして、「『ああしなさい。こうしなさい』と注意するのはよいことだと思っていましたが、子どもの反発を招くだけでした。
しかし、言いたいことを言わないのは苦しいです」と語りました。
そこで「東山紘久著『登校拒否~母親ノート法の勧め~』創元社にはお母さんの子どもへの話しかけ(治療的言葉かけ)の具体例が載っていますよ、
参考になさったら」と紹介しました。

 

◆5回目のカウンセリング

「夫に対して内観して、親よりも長く一緒に暮らしていることに気がつきました。
夫は子どもが小さいころは、子どもの相手をよくしてくれました。
布団干しやフロ洗いなどもよく手伝ってくれました」と夫に感謝し、
「長男の長電話や夜行性の行動は気にならず、娘に対してはすべて文句を言ってきました」と娘さんに対してだけ厳しかったことを反省なさっていました。

 

◆6回目のカウンセリング

「長男がアトピーで体質が弱くて手がかかり、あの子は元気でひとり遊びをよくしていたのでほったらかし。
長男のアトピーがよくなった頃に下の娘が生まれて、今度はそちらに手がかかりました。子守りは長男に頼み、あの子を当てにしませんでした。
そういう意味であの子の存在感が薄かったのです。中学時代になると、あの子が反抗的になりました。
今から考えれば、あの子は『お母さん、私のことも大事にしてよ』と訴えたかったのだと思います」と娘さんの心情を思いやっていなかったことを反省なさいました。
そして、「娘はバイトに行くとき、私が車で送ろうかといっても、
どんなに寒くても自転車で行きます」と感心しておられました。
次回のカウンセリングまでに娘さんに対する記録内観をお願いしました。

 

◆7回目のカウンセリング

娘さんに対する記録内観を持ってきました。そこには娘さんの長所がいくつも書かれていました。
Dさんは「娘の体重は48Kgに増え、バイクの免許を取り、整備代も自分で負担しました。身体が冷たいというので漢方薬を勧めたら飲んでいます。
以前は甘いものを食べなかったのですが、今は大福餅なども食べるようになりました。
『なぜそんなにやせたかったの?』と尋ねると、娘は『兄が大きなおお尻だといったとき、家族は誰も否定しなかった。
兄は許せるけれど、家族は許せなかった』と答えました。また『兄弟の弁当をなぜ作るの?』と尋ねたら、
『新しいメニューの研究をしている』という答え。就職の相談もするようになり、大量に調理できる所に行きたいといっています。
夕食もだいぶ食べられるようになりました」と娘さんとの関係が良好になり、娘さんの状態も改善していることをうれしそうに報告してくださいました。
そこで、「カウンセリングを終了してもよいのでは」と伝えますと、Dさんは「まだ娘の生理がないのは気になりますが、それも時間の問題と思います。
何か心配事ができればまた相談に来ます」ということで、3ヶ月半でカウンセリングを終了しました。

 

 

まとめ

食事量が極端に少ない状態は一筋縄では解決できない症状でありますが、この事例ではスムーズにカウンセリングが進展し、改善が見られました。
その要因として
①Dさんとカウンセラーとの信頼関係が早期に結ばれ、受理面接直後から母娘関係が改善していったこと、
②記録内観の勧めに応じて、Dさんがきちんとそれを実行したこと、
③記録内観で得た洞察をDさんが現実の場面で実践したこと、
④記録内観を踏まえた上での効果的なカウンセリングができたこと、
などが挙げられます。

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